親の葬儀や墓じまいは、いつか必要になると分かっていても、家族で話しにくいテーマです。しかし、費用を誰が払うのかを決めないまま進めると、葬儀後や墓じまいの段階で揉めることがあります。

特に、葬儀費用と墓じまい費用は性質が異なります。葬儀は亡くなった直後に必要になる費用、墓じまいはその後の供養やお墓の管理に関わる費用です。ここでは、家族で事前に話しておきたいポイントを整理します。

葬儀費用は誰が払うと決まっているのか

葬儀費用は、実務上は喪主や近い家族がいったん立て替えることが多い費用です。ただし、誰が必ず全額を負担するという単純なものではありません。親族間で合意できていれば、遺産から精算したり、きょうだいで分担したりすることもあります。

注意したいのは、葬儀が終わってから費用の話を始めると、不公平感が出やすいことです。喪主が急いで葬儀社を決め、見積もりを確認し、支払いを済ませたあとで「なぜそんなに高い葬儀にしたのか」と言われるケースもあります。

墓じまい費用は葬儀費用とは別に考える

墓じまい費用は、墓石の撤去や改葬先の費用、閉眼供養のお布施などが中心です。葬儀費用とは別のタイミングで発生するため、葬儀代を支払った人がそのまま墓じまい費用まで負担するとは限りません。

たとえば、長男が喪主を務めたからといって、今後のお墓の管理や墓じまい費用まで一人で抱える必要があるとは限りません。反対に、実家近くに住んでいる人だけが手続きや費用を負担する形になると、不満が残ることもあります。

話し合うべき費用項目

家族で話すときは、「葬儀代をどうするか」だけでなく、その後に発生する費用も並べて考えることが大切です。

項目主な内容話し合うポイント
葬儀費用式場、祭壇、火葬、搬送、安置、返礼品など形式と予算を誰が決めるか
宗教者へのお礼読経料、戒名料、お布施など菩提寺との関係を誰が確認するか
納骨費用納骨式、石材店作業、法要など納骨先をどこにするか
墓じまい費用墓石撤去、整地、閉眼供養、改葬先費用費用分担と手続き担当をどうするか
今後の供養費永代供養、年会費、法要費など継続的な管理が必要か

遺産から払える費用と払えない費用がある

相続税の計算では、葬式や葬送にかかった一定の費用を遺産総額から差し引ける場合があります。一方で、墓石や墓地の購入費、法事の費用、香典返しなどは、葬式費用として扱われないものがあります。

この違いを知らないまま「全部、親の遺産から払えばよい」と考えると、相続手続きのときに混乱しやすくなります。税務上の扱いと、家族間の費用分担は別の問題として整理しましょう。

揉めないための話し合い方

最初に予算の上限を決める

葬儀も墓じまいも、希望を積み上げると費用が増えやすくなります。まずは「葬儀は総額いくらまで」「墓じまいは改葬先を含めていくらまで」と上限を決めると、判断がぶれにくくなります。

支払う人と決める人を分けない

費用を出す人と内容を決める人が別々だと、不満が生まれやすくなります。喪主が決める場合でも、きょうだいに見積もりを共有し、どこまで費用をかけるのか確認しておきましょう。

親の希望を早めに聞いておく

親が元気なうちに、葬儀の規模やお墓の希望を聞いておくと、家族だけで悩む負担を減らせます。「大きな葬儀は望まない」「お墓は継がせたくない」などの意向が分かれば、費用のかけ方も決めやすくなります。

事前相談で費用の見える化をする

家族だけで費用を話し合っても、実際にいくらかかるのか分からなければ判断できません。葬儀社や供養先の事前相談を利用し、家族葬、一日葬、直葬、墓じまい後の供養先などの費用を具体的に確認しておくと安心です。

見積もりを見ながら話し合えば、感情論ではなく現実的な判断ができます。親の葬儀費用と墓じまい費用は、家族にとって避けて通りにくいお金です。だからこそ、元気なうちに話しておくことが、後の揉めごとを防ぐ第一歩になります。

出典:国税庁e-Gov法令検索