終活を始めるとき、まずエンディングノートを書く人は多いでしょう。葬儀の希望、財産の情報、連絡してほしい人、医療や介護の希望を書いておくことは大切です。ただし、エンディングノートは希望を伝えるためのものであり、身元保証や死後事務を実際に進める契約とは違います。老後準備を現実的に進めるには、ノートに書くことと契約で備えることを分けて考える必要があります。

エンディングノートでできること

エンディングノートは、自分の希望や情報を家族や支援者に伝えるための記録です。法的な形式に縛られず、比較的自由に書けるため、終活の入口として使いやすい方法です。

書いておきたい内容

  • 緊急連絡先
  • かかりつけ医や服薬情報
  • 預貯金、保険、不動産などの情報
  • 葬儀や納骨の希望
  • 介護が必要になったときの希望
  • ペットや家財の扱い

エンディングノートがあると、家族は本人の希望を知りやすくなります。特に、どこに何の書類があるか、どのサービスを契約しているかが分かるだけでも、手続きの負担は軽くなります。

エンディングノートだけでは実行できないことがある

エンディングノートは便利ですが、書いた内容を誰かに実行してもらう力までは十分ではありません。たとえば、「葬儀を小さくしてほしい」「公共料金を解約してほしい」「家財を整理してほしい」と書いても、それを誰が行うのか、費用をどこから出すのかが決まっていなければ、実行は難しくなります。

また、入院や施設入居の場面では、エンディングノートに希望を書いているだけでは、身元保証人や緊急連絡先の代わりにはなりません。医療機関や施設との手続き、費用の支払い、退院や退所時の対応には、実際に動く人や契約が必要になることがあります。

ノートと契約の違い

エンディングノートは「希望を伝えるもの」です。一方、身元保証契約、死後事務委任契約、任意後見契約などは「誰に何を依頼するかを決めるもの」です。終活では、希望を書くことと、実行する仕組みを作ることの両方が必要です。

契約で備える終活準備とは

契約で備える終活準備には、身元保証サービス、死後事務委任契約、任意後見契約などがあります。それぞれ目的が異なるため、自分に必要なものを整理して考えることが大切です。

身元保証サービス

身元保証サービスは、入院や施設入居の際の緊急連絡先、手続き支援、費用に関する確認などを支えるサービスとして利用されることがあります。子どもが遠方にいる人、おひとりさまの人、親族に頼りにくい人にとって、老後準備の選択肢になります。

死後事務委任契約

死後事務委任契約は、亡くなった後の葬儀、役所手続き、公共料金や携帯電話の解約、家財整理などを依頼するための契約です。死後の手続きは本人が行えないため、元気なうちに誰に頼むかを決めておく必要があります。

契約型サービスは内容と費用の確認が重要

消費者庁の高齢者等終身サポート事業者ガイドラインでは、契約内容の説明、契約書や重要事項説明書の交付、預託金の取扱い、解約方法などについて確認することが重要とされています。終活関連の契約は長期間にわたることがあるため、費用やサービス内容を十分に理解してから契約しましょう。

特に預託金を預ける場合は、何に使われるのか、残金はどう扱われるのか、途中で解約した場合に返金されるのかを確認する必要があります。寄附や遺贈が契約条件になっていないかも注意したい点です。

エンディングノートから契約へ進む流れ

最初から契約を考える必要はありません。まずはエンディングノートで、自分の希望や情報を書き出しましょう。そのうえで、家族に頼めること、専門家や身元保証サービスに頼む必要があることを分けると、次に必要な準備が見えてきます。

エンディングノートは終活の入口として役立ちます。しかし、入院、施設入居、死後事務など、実際に誰かが動かなければならない場面では、契約で備えることも検討したいところです。希望を書くだけで終わらせず、実行できる形にすることが、安心につながる終活準備です。

出典:消費者庁厚生労働省